薬が効いているのか身体は随分楽になってきていた。
余計なことまで思い出しそうで、得意の無心になる。
廊下を歩きながらキョロキョロとしていると、ついさっき見た人影を見つけて駆け寄った。
「千田さんっ…!」
「へ?って、え!レ、レイさん、何してるんすか!?」
求めていたさっきぶりのスキンヘッド頭を見つけられて安堵の溜息を吐いた。
このお願い事をするには、彼が適任だとそう頭に浮かんでいたから。
顔をまた紅潮させて動揺している千田さんに、控えめにお願いをした。
「あの、お風呂ってお借りできますか?」
「…っえ!えっと、それはちょっとさすがに…」
責任もって看てくれると言った千田さんにつけ込んだ。
怪我したばかりのこんな身体で、ダメなのは分かっている。せっかく愛子さんが丁寧に拭いてくれたのに申し訳ないという感情も心の隅にあった。
でも、どうしても今の自分の頭を冷やしたかった。



