「………本当に、傷ごめんなさい」
デンファレの花束を持って、改めて深々と頭を下げた愛子さん。
「いえ、本当に気にしてないので。」
何度言われても気にしてないんだから、本当いいのに。
そう思っていると、愛子さんは眉を寄せて私を非難めいた目で見てくる。
「アンタ、私が言うのもなんだけどもっと自分を大切にしたほうがいいわよ?」
「え?」
「ルカの傷つく顔見たくないでしょ?」
なんでルカさんが…
たった今のしおらしい愛子さんはどこにいったのか。
予想外の話の展開に、戸惑うことしかできない。
そんな私を見て、愛子さんは呆れたように溜め息を吐いた。
「本当、あの時は大変だったんだから。人ひとり、いや、周りの人達全員殺しちゃうんじゃないかと本気で思ったわ。それくらい、殺気立ってて。もう、あの女達がどうなったかなんて怖すぎて私も聞けないわよ…」
意味が、分からない。
全然、愛子さんが言っている意味が分からない。
なんでルカさんがそんな状態に…?
あの女の人達がどうなったかって…?
「アンタを本当に大事そうに抱えて、ずっと名前呼んでたわよ。もうあんな姿、こっちが見てられないわよ。この世の終わりかのように絶望してて。ルカがあんな感情的になるなんて初めて見た。あの人、どんな時でも嫌味なくらい冷静で、何考えてるのか誰も分からなかったから。誰かのためにあんなに動いて傷ついた顔を見せるなんて、今までのルカからは本当信じられないわ」



