「私が藤堂組の長女って知って、近づいてくる人なんていっぱいいたわ。一般人よりも、お金も、それなりに権力もあるから」
愛子さんはじっとデンファレを見つめたまま、消え入りそうな声で言葉を紡ぐ。
「雅人さんと婚約してからは、もっと悪化した。お金目当て、若頭目当て、権力目当て。特に女なんて最悪よ。急に仲良くしてきたと思ったら、掌を返されて。あることないこと散々言ってきて…」
そう投げやりに言った愛子さんは酷く寂しそうだった。
彼女の言葉に胸がざわざわとして、喉がきゅっと絞られる。
「……だから、アンタもそうなのかと思った。私を助けて、謝礼金要求してきて、あわよくば雅人さんに近づくのかと…」
"金のため"
"自分の欲のため"
「そんなの、あり得ません」
唐突に強く言葉を発した私に、愛子さんは驚いたように目を見開いた。
樋口さんが話してくれたように、複雑で私にはよく分からない話に変に口出すつもりはなかった。
でも、私が最も嫌いなワードを、私に当てはめてきたことに虫唾が走る。



