「藤堂組って結構有名なのよ?樋口組に比べたら、まぁ小さいけど……私はそこの長女。それなりに有名人なんだからね!?アンタが知らないほうがおかしいわよ」
最初に出会った時と比べて明らかに口が悪くなっている愛子さんにとうとうはっきりと、おかしいとまで言われてしまった…
樋口組同様、知っていて当たり前だったなんてやっぱり私は世間知らずなのかもしれない。
気まずくなってきて、視線を手元に置いていたデンファレの花束に向けた。
「…ほんと、知ってるんだと思ってたわ。全部知ってて私を助けたんだと思ってた…」
「…え?」
急な愛子さんの弱々しい声に思わず顔を上げると、愛子さんも私と同じようにデンファレの花束を見つめていた。
でも、その澄んだ黒い瞳でもっと遠くの、何か違うものを見ているような気がした。



