˖⊹ 𑁍

出会い sideルカ




6月下旬、梅雨なんて時期あっただろうか…とそれほどあっという間に蒸し暑い日が続いていた。




「ルカ、あとは頼んだ」



漆黒の髪が目にかかるのを鬱陶しそうに手で払いながらそう言い放つ、圧倒的なオーラを醸し出す男。




「はいはい。今日はこの後予定ないから、屋敷に帰られます?」


「…ああ」




必要最低限しか言葉を発しないこの男は、煙草片手に無駄に長い足をゆったりと動かし愛用車に乗り込んだ。



「ルカさんはどうしやすか?若とご一緒に屋敷に戻られますか?」



そう言って運転席から強面の顔を覗かせてきた千田に「仕事片付けてから帰るから」と軽く応えると「お気をつけて!」と静かに車を発車させて去っていった。