「なんで、なんでアンタはそんな平気そうなの!?なんで、私なんか助けたのよ…」
苦しそうに、踠いているかのように大きな声を出した愛子さんは、あの時と同じように私に理由を問いかけてくる。
あの時も聞かれたけど、なんで、なんて上手く説明できない。
そう思いながら、黙って慣れないながらも浴衣を着直した。
私が答える気がないのが分かったのか大きく溜め息を吐いて、今度は静かに問いかけてくる。
「…藤堂組って知ってる?」
藤堂組…そういえば、事の発端の派手な2人組の女性がそんな単語言っていたような…
よく分からないワードに素直に首をふるふると横に振った。
「嘘でしょ!?」
耳に響く甲高い声を出したかと思えば、ばっと勢い良く私の前に回り込んできて顔を覗き込まれる。
大きなくりくりの黒目は信じられないとでもいっているようで、困惑する。
そんな凝視されても、知らないものは知らない。
そう思ってまた首をゆっくり振れば、再び大きな溜め息を吐かれてしまった。



