そんなことを考えながらも十数メートルくらい進めば、そこにしっくりと馴染んで佇む一軒の小さな花屋があった。
"フラワーショップ みつばち"
どこか懐かしくも感じるポップ体で書かれた緑の看板は、古びた独特の色をしていて長くからこの場所で経営していることを物語っている。
しかし、決して外観は薄汚れているわけではなく、店前は色とりどりの花とグリーンに溢れ、コテージ風な小洒落た雰囲気だった。
ふと、木目調のドアに目をやると[close]と書かれているビンテージ風の札が目に入った。
直ぐさま千田は俺の視線に気づき、そういえば、という風に応えてくれる。
「事前に挨拶に行くと伝えてたんで、早々と店閉めといてくれたみたいですよ」



