そう思ったのも束の間で、すぐにいつもよりも低く冷たい声が響く。
「ねぇ雅人、なにしてたの?いくら雅人だからって絶対譲らないから。絶対に許さない」
「ククッ…ただ話してただけだ。レイ、愛子が謝りたいって言ってた。後で聞いてやってくれ」
「勝手に名前呼ばないで。ほんとやめて。一生話さないで」
樋口さんは楽しそうだけど、ルカさんは凄く苛々してるみたい。
どうしたらいいのか…
とりあえず樋口さんに返事をしようと思ったのに、間髪入れずにルカさんが棘のあるような言葉を早口で言い放ったからタイミングを逃してしまった。
「クッ…本当おもしれぇ。またな」
最後まで楽しそうにそう言った樋口さんが、この場から居なくなったのが気配で分かった。



