樋口さんは口角をニヤっとあげて、どこか嬉しそうに呟いた。
「さすが、ルカが選んだ女だ」
「…え?」
樋口さんの予想外の反応と笑った顔にただ驚くことしかできない。
「ルカがあの時、久し振りに俺のことを雅人と呼んで苛立ったところを見せたときは本当に驚いた」
「(……ルカさん…)」
突然のルカさんの話に何故か胸がきゅっと反応しながらも、樋口さんが言っているであろうあの時を思い出した。
𓂃𓈒𓏸
『雅人、今日は完全プライベートな時間をくれるって約束してくれたよね?だからここ何日もこの日のために死に物狂いで働いたんだけど?ちゃんと教育しといてよ。次はないからね』
𓂃𓈒𓏸
ルカさんはいつも、樋口さんのことは若と呼んでいた。だから、下の名前で呼んだことは珍しかったってことかな?
さっきよりも熱くなってきた身体に気づかないフリをしながら、ぼんやりとそんなことを思った。



