人と人とが交わることはこんなにも難しいことなのかと、私にはいまいちよく分からなかったけれど。
こんなにも愛子さんのことを想っている樋口さんを見ていると何故か胸が締め付けられた。
だからといって恋愛経験、むしろ人間的経験値が全くない私に何かできるわけでもない。
もどかしい初めての気持ちに戸惑いながら、
それでも、1つだけ私にも分かることがある。
「愛子さんは、強いですよ」
遠くでまだ高い耳鳴りが響く中、静かにそっと呟いた。
樋口さんは驚いたように、さっきよりも目を見開かせて私の方に顔を向けてきた。



