ロバートさんはまた、彼女の頭をゆっくり撫でながら思い耽るように言葉を紡ぐ。
「…レイちゃんは、自分の痛みに鈍感だからのぉ。自分を大事にしてくれないところは怒らないといけないかね…」
あまりに切なそうに呟くその言葉に遣る瀬無さを感じた。
多くの謎に包まれた彼女。
無表情で一見何を考えているのか分からないけれど、真面目で、律儀で、礼儀正しくて。
実は恥ずかしがり屋で、そして自分自身には無頓着なのだと。
どんどん彼女を知れることが嬉しくもあり、何故か胸が苦しくもなる。
でもどんな面を知っても、彼女の全てをそのまま包み込んで、自分の手の中で存分に甘やかしたい。
そんな貪欲な自分を秘めながら、ロバートさんを真っすぐと見据えた。



