「やっぱり、良い瞳をしてらっしゃる」
そう言ってくれたロバートさんは少し落ち着いてきたのか、以前会った時と同じような物腰柔らかい愉快な調子を取り戻していた。
「ロバートさん、怒ってらっしゃらないの?レイちゃんを巻き込んじゃったのに…私からも、本当にごめんなさいね…」
あやめさんもロバートさんに向かって綺麗に頭を下げた。
樋口組としても今回のことは失態だ。
お嬢をちゃんとお護りできなかった時点であり得ない。
「いやいや、マダムまで勘弁してください。それに、今回はレイちゃん自身がしたことですからね。まさか彼女がこんなことするなんてね、私も驚いてますよ…」
たしかに、彼女が自らお嬢を庇ったと聞いて酷く驚いた。
お嬢に言いがかりをつけられた時も、表情ひとつ変えず何事もなかったようにしていて。
寧ろ自分のことより俺のことを心配してくれた彼女に胸が締め付けられる。



