エンゼルランプ




綺麗なヘーゼル色の瞳が見たいのに、何度呼びかけても目を開けてくれない。


整った美しい顔は薄白く血色が悪くて、ほんの微かに聞こえる苦しそうな弱々しい呼吸。


あの時思わず抱きしめてしまった華奢な肩は、どす黒く染まっていて。




そんな彼女の姿が鮮明に記憶に残っているのに、その後の記憶はもう曖昧で靄がかかったように朧気だった。


ただ、怒り、悲しみ、焦燥感が限界値を超えて、無心で彼女を抱えてひたすら足を動かしたような気もする。



医者から傷が浅いから大事にはいたらないと聞いて、やっと正気に戻った俺は、もう彼女がいない世界では生きていけないんだと実感した。



こんな時でも彼女の眠った顔を見て、愛しさがこみ上げてくるんだから、自分でも愛の深さに怖くなった。