エンゼルランプ




繋がらない携帯を握り締め、焦燥感に駆られる。

もしもなんて考えていても仕方ない。
今、彼女に何かあったと決まったわけではない。


大丈夫、彼女の情報は外部に一切漏れていないし、それに店周辺の見張り抜きにしても、比較的安全で穏やかな区域に彼女は住んでいる。



以前、彼女を家の前まで送ろうとしたとき、店のすぐ裏のほうに住んでいるから、ここで大丈夫だと、丁寧に断られた。

渋々店の前で降ろしたけれど、そのときの儚げで今にも消えてしまいそうな、そんな彼女の姿が脳裏に焼きついている。


彼女の影をゆっくり知っていきたい。
でも俺だけが知っていたい。


そう複雑な感情を抱きながら、なるべく彼女のプライベートを守りつつ、影で着実に動いていた。


抜かりはない、大丈夫だ。


そう無理矢理にでも落ち着かせないと、彼女への不安で頭がおかしくなりそうだった。