そこにいたのはやっぱり藤堂愛子さんで、この場に不釣り合いな彼女もそうだけど、今の姿にも思わず目を見張る。
彼女は明らかに目の前にいる2人の女性にやられたであろうボロボロの姿で、囲まれながら座り込んでいた。
もの凄い剣幕の2人の女性は、とても派手な出で立ちをしていて、露出度が高いドレスを着たその姿はパッと見ただけでもこの繁華街に入り浸る人達なんだろうと分かった。
こんな険悪な雰囲気なのに、藤堂さんは目の前の2人を鋭く見据えている。
……凄い。やっぱり強い人だ。
そうは思っても膝や口から血が出ていて、右頬が真っ赤に腫れている彼女の姿はあまりにも痛々しくて、この危機的状況に流石の彼女も顔が強張っているようだった。
「あんたなんて所詮、コネで雅人様の婚約者になれただけじゃない!すぐに捨てられるわよっ」
「藤堂組なんてすぐに潰れそうなのにぃ〜。雅人様もほっとけばいいのにねぇ〜?」
そう言って2人の女性は酷く下品な笑い声を豪快に路地裏に響かせた。
「…コネも品位もないドブネズミちゃん達なんかに言われたくないわよ」
鼻で笑いながら藤堂さんは、馬鹿にしたように言い返していた。



