空はさっきよりも暗くなってきている。
「(……急ごう)」
繁華街の手前、鞄から常備していた黒い大きめのキャスケットを取り出して顔が隠れるように目深に被った。
昼間でもあまり来たくないくらい苦手な場所だけど、ここを通るのが一番の近道だから仕方ない。
なるべく顔を伏せながら人の間を縫うようにすり抜ける。
ロバートさんから、
"繁華街には行かないこと"
…でも、どうしても行かなくてはいけないときは絶対にこうしなさい。
そう、キャスケットを渡された日から繰り返し厳しく言われ続けてきた。
人混みが苦手なのも相まって、側から見たら完全に怪しいと思うけれどあまり深く考えずに忠実に守っている。
昼間とは全く雰囲気の違う、ネオンが怪しく光り始めている様子に私は歩くスピードを速めた。



