そんな恨めしい視線にも気づかないまま、何故か千田は待ってましたと言わんばかりに自信満々に応えた。
「はい!以前あやめさんが一度寄ったことがある花屋があるそうで…ウチの都合であまりその店には寄れなかったようですが、とても気に入ってたそうですよ。あ、組長も御同行されていたので御安心を。」
あやめさんは華道を嗜んでいて、昔から花には拘りがある人だった。
本当は色々な店をまわって花を選びたかったようだが、組長の妻という立場的に、樋口組の管轄内で我慢していたようだった。
そんな中、組長も同行して行った店なら大丈夫なのだろう。しかし。
だったら、尚更自分の出る幕はあるのか。
もう店も決まっているのだったら話は早い。
特別花に詳しいわけでもないのに、なんで俺が…。
益々不満を募らせて、千田に八つ当たりをする。



