「…ありがとう」そう、なにかを噛み締めるように最後に口にした彼に、瞬きを数回返すことしかできない。
…私は、何もしていないのに。
言われたことの半分も理解できなくて戸惑っていると、彼はいつもの調子を取り戻したのか、ゆったりと甘いトーンで言葉を紡ぐ。
「今は困らせちゃうだけだから言わないけど、ひとつだけ覚えといて?さっきの大事な子って、レイちゃんのことだから」
その言葉を聞いて、呆然とするしかなかった。
ルカさんはそんな私を見て、楽しそうに目を細めて妖艶に微笑む。
「次のデートはどこに行こうか?」
甘い囁きは私の身体に染み込んで、どんどん侵食される感覚に陥った。
ルカさん、危険な香りがするけど、やっぱりこっちの雰囲気のほうがいいな…
甘く痺れた頭の中、そんなことがふわふわと浮かんだ。



