「ちょっと!なに雅人さんに色目使ってんのよ!婚約者である私の目の前でふざけてるの!?」
「(……ほら、)」
冷えきった頭の中、ぼんやりとその言葉しか浮かばなかった。
婚約者だと名乗る女性が目くじらを立てて見当もつかないことを私に浴びせてきても、やっぱりこうなるんだと予想通りでもう何の感情も生まれなかった。
私がどんな行動をとっても。どんな言葉を発しても同性は皆こうなる。
だからといって、もうどんなに弁解をしてもこの人にとっては私は敵で、この場がより悪化することは経験上分かりきっていることだから。
そうどこか他人事のように突っ立っていると、隣から肌を突き刺すような酷く冷たい声が発せられた。



