返事をしようとした途中、声を遮るように私よりも高い声が聞こえた。
突然のルカさんを呼ぶ声に、彼自身も驚いたように私の後方を見て目を見開いた。
「お嬢…」
…お嬢?聞きなれない単語に私も思わず振り向くと、届け先のお屋敷で会った漆黒の髪の偉い人…樋口さんと、若い女の子がいた。
私と同じ歳くらいかな。
黒いミディアムボブのその子は、綺麗にお化粧を施して、女の子らしい上品な雰囲気を醸し出していた。
「ルカも来てたのね?私達もちょうど食事してたのよ。ねっ雅人さん?」
そう言って隣に立っている樋口さんの腕に自分の腕を絡めていた。
樋口さんは無表情だったけど嫌ではなさそうだから、もしかしたらルカさんが言っていた婚約者の方なのかなと、ついていけないながらもそう思った。



