「それが、いつもの花屋のオヤジさんが階段から落ちたとかで入院しちまったらしいんですよ。もう歳も歳だし、これを機に店たたんでのんびり隠居したいとかなんとかで…」
千田は俺の顔色をチラチラと伺いながら、気まずそうに話した。
確かに本来なら定年しててもおかしくない歳のようだった。
店の後継もいないようだったし、仕方ないことだけど。
「それって俺が出る幕なの?下っ端の奴らでなんとかできないわけ?」
たかが花屋ごときで。
そんな風に思ってはいけないのかもしれないけれど、今までの自分への重労働を考えると雑用のような扱いにそろそろ苛々してきていた。
山城組は傘下でもある組だからちゃんと祝ってやるべきなのは重々承知だけど。
そんなの下っ端でも出来ることだ。
いつから布団でゆっくり寝ていないんだろうと、チクチクと痛んできた顳顬あたりに軽く指を添えて、今だに俺の様子を伺う千田をギロッと睨んだ。



