それでもまた、「レイちゃん」と聞いて彼女の姿がすぐに浮かぶ。
彼女に下の名前を呼んでほしくて敢えて下の名前だけを告げたあと、彼女は初めてほんの少し頬を赤らめながら、
『大変失礼しました。私は笠原 レイと申します』
そう、丁寧に教えてくれた。本当は花屋に行ったあとから名前は知っていたけど、彼女の口から教えてもらえたことが自分でも驚くほど嬉しくて胸が踊った。
だめだ、すぐ彼女のことを考えてしまう。
「…あなたのそんな姿初めて見たわ」
口元がゆるむのを抑えきれないでいると、あやめさんは信じられないものでも見たかのように口をポカンと開けていた。



