he said , she said[完結編]

外れのない選択だろうと踏んでいたが、彼女もやはりお気に召したようだ。

前菜のテリーヌは目に美しく、メインの牛肉はミディアムに焼かれた4切れの肉に、それぞれ異なるソースが合わせてある凝りようだ。

そういける口ではないと言うものの、瞳子はグラスの赤ワインをすいすいと口に運んでいる。
料理も酒も口に合ったのだろう。

「ああ、どれも本当に美味しいです」
瞳子が満足の吐息を漏らす。酔いのために頬がほんのり染まっている。

よかった、と意識して声を低めて向かいから彼女に視線を当てる。
「俺も今日は本当に楽しかった」

料理の感想でも言おうとしていたのか。開きかけていた唇を、瞳子がきゅっとつぐむ。
なにかを感じとったのだろうか。たとえば男の欲望とか。

いいことを教えよう。
見返りを求めない、などという男の言葉を信用してはいけないし、そんな男は存在しない。
ここまで来たら逃さない。