he said , she said[完結編]

品物と値札にざっと目を走らせる。
高価なものはそれなりの値がついているが、“手の届く” 価格帯の物も揃っている。

アーティストから直接仕入れをしているというオーナーの労が窺えた。
輸送コストや店舗のテナント料を考えると、かなりのお値打ちだろうと直弥は冷静に計算する。

瞳子はと視界の端でうかがうと、アートピースのような皿の作品群の前で足を止めて見入っていた。
角が丸い正方形の皿で、釉薬がガラスのように艶やかにかかっており、一枚一枚色合いが違っている。
濃淡の違う二色の組み合わせがどれも洒落ていて、つい次々と手にとってしまうといった様子だ。
サイズといい、インテリアにも実用にも使えそうだ。

引き込まれている瞳子に、目ざとく店員が近寄ってきた。

「そちらはフランスのリモージュ地方のアトリエで作られているんです。日本で直接取り扱っているのは、たぶんうちだけです。
どこかバイヤーさんとか経由で置いているショップはあるかもしれませんけど」

なるべく購買意欲をそそってくれることを念じつつ、店員の説明に耳を傾けている瞳子の背後からそっと近づいてゆく。