中川との打ち合わせは、常に膝付き合わせての密なものだ。
各部署からの要望をすべて満たしていると、コストが天文学的になってしまう。
どれを取り入れどこを諦めるか、最終的には予算と上層部との折衝になる。
主幹である製造部門の予算案を次回に提出することで、その日の打ち合わせはようやく一段落した。
サカキの現行の基幹システムは相当な年代ものだ。
数十年前にある会社が開発したのだが、ままあることで、その後システム開発の事業から撤退。
保守・管理の責務を果たすために一名が残っているだけという状態だ。
その社員もすでに定年を迎え嘱託になっているのだとか。
どうあってもあと数年でそこには誰もいなくなる。であるからして、新ERPの開発と運用はサカキの急務だった。
「クラシックカーでレースサーキットを走っているようなもんですよ。今までよく致命的なクラッシュを起こさなかったもので」
中川はそんなふうに表現した。
そういった開発にいたる経緯はサカキの社員には秘することではないので、瞳子との2回目のランチで話に出してみた。
各部署からの要望をすべて満たしていると、コストが天文学的になってしまう。
どれを取り入れどこを諦めるか、最終的には予算と上層部との折衝になる。
主幹である製造部門の予算案を次回に提出することで、その日の打ち合わせはようやく一段落した。
サカキの現行の基幹システムは相当な年代ものだ。
数十年前にある会社が開発したのだが、ままあることで、その後システム開発の事業から撤退。
保守・管理の責務を果たすために一名が残っているだけという状態だ。
その社員もすでに定年を迎え嘱託になっているのだとか。
どうあってもあと数年でそこには誰もいなくなる。であるからして、新ERPの開発と運用はサカキの急務だった。
「クラシックカーでレースサーキットを走っているようなもんですよ。今までよく致命的なクラッシュを起こさなかったもので」
中川はそんなふうに表現した。
そういった開発にいたる経緯はサカキの社員には秘することではないので、瞳子との2回目のランチで話に出してみた。



![he said , she said[1話のみ]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1740766-thumb.jpg?t=20250404023546)