寺島さん、と名前を口にする。
「差し支えなければ、プロジェクトに関して二、三お伺いしたいことがありまして。そんなにお時間は取らせないんですが…」
あ、はい。とあっさり受け入れられた。
立ち話もなんですからと、受付の先にある休憩コーナーのようなところに案内された。丸テーブルと簡易的な椅子がいくつか置かれている。
給茶器から紙コップに注がれたひどく不味いコーヒーを一口すすって、直弥は話を切り出した。
「プロジェクトをスムーズに進めるためにメンバーのみなさんのことを頭に入れておきたいんです」
まるであなたのことを知りたいとでも言いたげに、寺島に視線を注いでやる。
安全策だと知っているのは、彼女の左手の薬指にシンプルなリングが光っているからだ。
「と仰いますと…」
小首をかしげてみせる。
直弥は手帳を広げ、先ほど寺島から受けとったペンを手にする。
「みなさん総務部ということですが、具体的にどなたがどのような業務を担当されているのかと思いまして」
「差し支えなければ、プロジェクトに関して二、三お伺いしたいことがありまして。そんなにお時間は取らせないんですが…」
あ、はい。とあっさり受け入れられた。
立ち話もなんですからと、受付の先にある休憩コーナーのようなところに案内された。丸テーブルと簡易的な椅子がいくつか置かれている。
給茶器から紙コップに注がれたひどく不味いコーヒーを一口すすって、直弥は話を切り出した。
「プロジェクトをスムーズに進めるためにメンバーのみなさんのことを頭に入れておきたいんです」
まるであなたのことを知りたいとでも言いたげに、寺島に視線を注いでやる。
安全策だと知っているのは、彼女の左手の薬指にシンプルなリングが光っているからだ。
「と仰いますと…」
小首をかしげてみせる。
直弥は手帳を広げ、先ほど寺島から受けとったペンを手にする。
「みなさん総務部ということですが、具体的にどなたがどのような業務を担当されているのかと思いまして」



![he said , she said[1話のみ]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1740766-thumb.jpg?t=20250404023546)