「よし、今から2人で抜け出しちゃおうか」
「え…?でも」
「一緒に実里のお母さんのところに行こう。もしかしたら元気になってるかもしれないし、そうじゃなくても、実里のお母さんが元気になるまで私も声をかけ続けるよ」
実里のお母さんがどういう状態なのか実際に見て知りたかった。
案外不安からくる実里の思い込みだったりするかもしれない。
会ってみればなにかできることが見つかるかもしれない。
とにかくお山になんて連れていかせるわけにはいかなかった。
くだらない因習なんて、私が断ち切ってやる。
「菫…」
「きっと大丈夫だよ、実里」
「ありがとう、菫…」
また一粒、実里の目尻から涙がこぼれたとき
視界の端に、ありえないものが映った。



