その日、シルナは三年生の教室のある廊下を歩いていた。
そこで、教室の中から、生徒達のはしゃぐ声を聞いた。
「…?」
こっそりと、廊下から教室の窓を覗くシルナ。
この時点で、不審者。
中を覗くと、数名の女子生徒達が輪になって、何かを見つめていた。
きゃっきゃと笑って、何やら楽しそう。
微笑ましいなぁ、で立ち去れば良いものを。
生徒達が楽しそうにしていると、どうしてもその輪に入りたくなる学院長シルナ。
生徒にとっては、迷惑極まりない存在である。
「ねー、皆」
いてもたってもいられなくなったシルナ。
教室に入って、女子生徒達に声をかけた。
いきなりやって来た学院長に、生徒達はぎょっとした。
そして、覗き込んでいた何かを、さっと隠そうとした。
「が、学院長先生…?」
「ねぇねぇ、今、何見てたの?」
「…」
可哀想な女子生徒達、お互いの顔を見合わせた。
皆、青ざめた顔だったことだろう。
イーニシュフェルト魔導学院の生徒ともあろう者が、占い雑誌を囲んではしゃいでました、なんて。
学院長に知られたら、何と言われるか。
温和な学院長でも、小言の一つくらいは言われるのではないか…。
彼女達は、そう思ったに違いない。
しかし。
「今何見てたの?」
「え、えっと…」
学院長に現場を押さえられては、言い逃れも出来ない。
しらばっくれられないなら、正直に白状するしかない。
「こ、これ…」
観念したように、隠していた雑誌を、シルナの前に出した。
いかにも、年頃の女の子が好きそうな占い雑誌である。
生徒達は、てっきり叱られると思ったに違いない。
何てものを読んでるんだ、こんなものを読む暇があったら、魔導書の一冊でも読みなさい、と。
叱られることを覚悟した生徒達は、シルナの反応を待った。
呆れ声か、あるいは罵声が飛んでくるのかと思ったら。
シルナは喜色満面で、雑誌に手を伸ばした。
「わー!占い!占いだって!面白そう!」
「…」
生徒達、ぽかーん。
「何これ何これ?何で占ってくれるの?星座とか?血液型とか?見ても良い?ね、見ても良い?」
「ど、ど、どうぞ…」
食い気味のシルナに、怖じ気づきながら答える生徒。
「やったー!どれどれ…。ほう!星座だけじゃなくて…あっ、手相!手相まで載ってる!私、一度手相調べてもらいたかったんだよね」
「…」
シルナ、占い雑誌に興味津々。
「面白そ~!良いなぁ、これ読んでみたいな」
このときのシルナは、王立図書館で、新しく入った魔導書をレティシアに貸してもらったときと、同じ顔をしていたことだろう。
子供か。
「ね、ちょっと貸してくれないかなぁ?放課後には返すから!」
そして、要求が厚かましい。
「ど、どうぞ…」
学院長に頼まれれば、嫌でも頷くしかない。
可哀想に。最早脅迫だ。
「ありがとう!大事に読むね!」
シルナは満面笑みで、占い雑誌を抱き締め。
るんるんと、スキップしながら教室を出ていった。
そんな学院長の背中を、女子生徒達は、ぽかーんと眺めていたことだろう。
本当可哀想。
俺がその場にいたら、後頭部に一発かましてやったものを。
そこで、教室の中から、生徒達のはしゃぐ声を聞いた。
「…?」
こっそりと、廊下から教室の窓を覗くシルナ。
この時点で、不審者。
中を覗くと、数名の女子生徒達が輪になって、何かを見つめていた。
きゃっきゃと笑って、何やら楽しそう。
微笑ましいなぁ、で立ち去れば良いものを。
生徒達が楽しそうにしていると、どうしてもその輪に入りたくなる学院長シルナ。
生徒にとっては、迷惑極まりない存在である。
「ねー、皆」
いてもたってもいられなくなったシルナ。
教室に入って、女子生徒達に声をかけた。
いきなりやって来た学院長に、生徒達はぎょっとした。
そして、覗き込んでいた何かを、さっと隠そうとした。
「が、学院長先生…?」
「ねぇねぇ、今、何見てたの?」
「…」
可哀想な女子生徒達、お互いの顔を見合わせた。
皆、青ざめた顔だったことだろう。
イーニシュフェルト魔導学院の生徒ともあろう者が、占い雑誌を囲んではしゃいでました、なんて。
学院長に知られたら、何と言われるか。
温和な学院長でも、小言の一つくらいは言われるのではないか…。
彼女達は、そう思ったに違いない。
しかし。
「今何見てたの?」
「え、えっと…」
学院長に現場を押さえられては、言い逃れも出来ない。
しらばっくれられないなら、正直に白状するしかない。
「こ、これ…」
観念したように、隠していた雑誌を、シルナの前に出した。
いかにも、年頃の女の子が好きそうな占い雑誌である。
生徒達は、てっきり叱られると思ったに違いない。
何てものを読んでるんだ、こんなものを読む暇があったら、魔導書の一冊でも読みなさい、と。
叱られることを覚悟した生徒達は、シルナの反応を待った。
呆れ声か、あるいは罵声が飛んでくるのかと思ったら。
シルナは喜色満面で、雑誌に手を伸ばした。
「わー!占い!占いだって!面白そう!」
「…」
生徒達、ぽかーん。
「何これ何これ?何で占ってくれるの?星座とか?血液型とか?見ても良い?ね、見ても良い?」
「ど、ど、どうぞ…」
食い気味のシルナに、怖じ気づきながら答える生徒。
「やったー!どれどれ…。ほう!星座だけじゃなくて…あっ、手相!手相まで載ってる!私、一度手相調べてもらいたかったんだよね」
「…」
シルナ、占い雑誌に興味津々。
「面白そ~!良いなぁ、これ読んでみたいな」
このときのシルナは、王立図書館で、新しく入った魔導書をレティシアに貸してもらったときと、同じ顔をしていたことだろう。
子供か。
「ね、ちょっと貸してくれないかなぁ?放課後には返すから!」
そして、要求が厚かましい。
「ど、どうぞ…」
学院長に頼まれれば、嫌でも頷くしかない。
可哀想に。最早脅迫だ。
「ありがとう!大事に読むね!」
シルナは満面笑みで、占い雑誌を抱き締め。
るんるんと、スキップしながら教室を出ていった。
そんな学院長の背中を、女子生徒達は、ぽかーんと眺めていたことだろう。
本当可哀想。
俺がその場にいたら、後頭部に一発かましてやったものを。


