部屋の中は、僕の知っているイーニシュフェルト魔導学院学生寮のそれと、何ら変わりはなかった。
備え付けのベッドも、デスクも本棚も、記憶にあるものと変わらない。
さすがに、鉛筆とか消しゴムとか、個人的な私物は違うけど。
「…ナジュ・アンブローシアの机は?」
「こちらです」
イレースさんは、二つある内の一つを指差した。
勉強机の上には、テキストやノートの類が置きっぱなしになっていた。
「片付けてないんですか?」
「はい。彼が学院を出たときのまま、誰も触っていません」
「そうですか」
有り難い。
その方が、『痕跡』を見つけやすいからだ。
僕は、残されたノートを手に取った。
中を開いてみると、意外にも、ちゃんと真面目に板書を写してあった。
…いつ他人に見られても良いように、「学生生活」を徹底していたらしいな。
随分用心深い。
さすが、あの学院長の目を欺いただけのことはある。
それに。
「…どうだ?何か見つけられたか?」
「いえ…なかなか厳しいです」
どうやら、自分の正体がバレたときの為に、普段から対策していたらしい。
僕の探索魔法は、探す対象の『痕跡』…つまりは、残留思念のようなものを手がかりに、持ち主の居所を探る。
例えどんなに小さく、細い糸でも。
その糸を探った先に、探し物はある。
これが一般人であれば、残留思念が多く残っているので、辿るのはそう難しくない。
だが。
今回のターゲット、『殺戮の堕天使』は…。
…わざと、自分の残留思念を消している。
自分の正体がバレたときの為に、その都度残留思念を消したのだろう。
聖魔騎士団に、僕が…探索魔法の専門家がいることを、聞き付けていたのかもしれない。
なんという用意周到さだ。
ノートやテキストは勿論、鉛筆の一本、消しゴムのカスに至るまで、全て。
自分の身体に触れたもの全てに。
徹底して、『痕跡』を残さないよう対策している。
…敵ながら、見上げたものだ。
「自分が消えた後、探索魔法で捜索されることを想定していたようです」
今回のターゲットは、相当に厄介だ。
備え付けのベッドも、デスクも本棚も、記憶にあるものと変わらない。
さすがに、鉛筆とか消しゴムとか、個人的な私物は違うけど。
「…ナジュ・アンブローシアの机は?」
「こちらです」
イレースさんは、二つある内の一つを指差した。
勉強机の上には、テキストやノートの類が置きっぱなしになっていた。
「片付けてないんですか?」
「はい。彼が学院を出たときのまま、誰も触っていません」
「そうですか」
有り難い。
その方が、『痕跡』を見つけやすいからだ。
僕は、残されたノートを手に取った。
中を開いてみると、意外にも、ちゃんと真面目に板書を写してあった。
…いつ他人に見られても良いように、「学生生活」を徹底していたらしいな。
随分用心深い。
さすが、あの学院長の目を欺いただけのことはある。
それに。
「…どうだ?何か見つけられたか?」
「いえ…なかなか厳しいです」
どうやら、自分の正体がバレたときの為に、普段から対策していたらしい。
僕の探索魔法は、探す対象の『痕跡』…つまりは、残留思念のようなものを手がかりに、持ち主の居所を探る。
例えどんなに小さく、細い糸でも。
その糸を探った先に、探し物はある。
これが一般人であれば、残留思念が多く残っているので、辿るのはそう難しくない。
だが。
今回のターゲット、『殺戮の堕天使』は…。
…わざと、自分の残留思念を消している。
自分の正体がバレたときの為に、その都度残留思念を消したのだろう。
聖魔騎士団に、僕が…探索魔法の専門家がいることを、聞き付けていたのかもしれない。
なんという用意周到さだ。
ノートやテキストは勿論、鉛筆の一本、消しゴムのカスに至るまで、全て。
自分の身体に触れたもの全てに。
徹底して、『痕跡』を残さないよう対策している。
…敵ながら、見上げたものだ。
「自分が消えた後、探索魔法で捜索されることを想定していたようです」
今回のターゲットは、相当に厄介だ。


