一ノ瀬さん家の家庭事情。®️

その日の夜、寝る前にあたしはとっくにベッドに入っていた玲に話しかけた。

「ねえねえ、玲はもう進路とか決めてる?」

あたしたちもそろそろ、本格的に志望校を考えなくちゃいけない。

「さあ?」

漫画から一歳目を離さずに言う。

まあ玲は頭いいから、どこにでもいけちゃうよね。

「でもさ、優兄も真兄も家、出ちゃったら寂しくなるね。」

部屋で玲に漫画を借りに来ていた直君がポツリと言う。

そうだ。

もしも優兄が留学生に合格したら、この家にはりっちゃんと玲と直君とあたし。

これからこうやってみんな少しずつバラバラになっていくのか。

これが大人になるってことなのかな。

「どこにいたって同じでしょ。すぐ帰ってくるよ、なにも変わらない。」

…玲ってたまに、いいこと言うよね。

「玲兄!それ、名言!だよね!」

「うるさい、用事済んだら早く部屋に帰りなよ。」

ちょっと耳が赤くなってるけど、それをいじったら身に危険を感じるから言わないでおこう。