一ノ瀬さん家の家庭事情。®️

浅丘君の手が玲の頬にふれている。

すごい…

美男美女、ならぬ美男美男!!

「…あのさ。」

体育館中に響いたのは、眠り姫の落ち着いた、冷めた、声。

「俺たちの姫、泣かせたら許さないよ。」

は、はい!?

姫はあなた!でしょ!

そして小さく、玲は浅丘君の耳元で何か言ったみたい。

浅丘君は頷き、舞台を飛び降り、そして…

「愛!」

う、うえええ!?

これは去年の速水先輩のデジャヴ…

ってそうじゃなくて!!

あたしは手を引かれるがまま、浅丘君の後をついていく。

全力疾走すぎる。

足がもつれて、転びそうだよ。

「…っはぁ…はあ…」

やっと止まったのは誰もいない校舎裏。

このあとは三年生の合唱、それから一番盛り上がるミスコンがあるからほとんどの生徒が体育館に集まっている。

誰もいない校舎裏は裏の熱気とは違って少しひんやりとしている。

「…浅丘、君…」

謝らなくちゃ!!