一ノ瀬さん家の家庭事情。®️

なんで…

「…あたしは…」

ガタンと、入り口の方で音がした。

「…一ノ瀬…?」

そこに立っていたのは、浅丘君。

なんでタイミングの悪さ。

あたしって本当に、タイミングに関しては世界最大に不幸だと思う。

でもいまはそんなことを嘆いている場合なんかじゃなくて。

「柚之木、なにやってるの?」

「なにって、告白だけど。」

何事もないかのようにさらりという柚之木君。

「じゃあなんで、一ノ瀬が泣いてんだよ!」

「俺が愛ちゃんにキスしたから。」

浅丘君が勢いよく柚之木君の胸ぐらをつかんだ。

その拍子に柚之木君がもたれかかっていた机が大きな音を立てた。

「…やめて!」

ケンカなんてしないでよ。

あたし、どうすればいいの?

浅丘君を傷つけた。

あたしがもし逆の立場なら、こんなの絶対に嫌だもん。

好きな人が他の人からキスされた、なんて絶対に聞きたくないもん。