一ノ瀬さん家の家庭事情。®️

パニック状態で、頭が回らない。

どうしたらいいの?

「お前らさ、まずは一ノ瀬に謝れば?」

その雰囲気をざっくり切るように声をあげたのは柚之木君。

いつもの明るくてチャラチャラした彼の声色とは違って、低く凄んだような響き。

「一ノ瀬に向かってこれ、投げたやつ、そいつが悪いんじゃないの?」

あたしの足元に転がっていたガムテープでできたボール。

そのボールも赤いペンキで真っ赤に染まっている。

「…ごめん、俺らふざけてて…」

怯えたようにあたしの前に出てきた、野球部の高見君。

「…とりあえず、愛ちゃんは保健室でその格好綺麗にしておいで。綾瀬さん、お願いできる?」

「う、うん!」

あたしははるひちゃんに手を引かれるがまま、教室を出た。

「愛ちゃん、これ使って!ほら、たれちゃう。」

はるひちゃんはハンカチが汚れるのも気にせずあたしのスカートを拭いてくれる。

「ごめんね、あたしどんくさいから…」