一ノ瀬さん家の家庭事情。®️

帰り道、浅丘君は片手で自転車を押している。

「あたし押すよ?」

そう聞いてもいいよ、と笑う。

こうして2人で並んで歩くのなんて久しぶりすぎて何を話したらいいの!?

さっきも2人の時はあったけど、いろいろバタバタしていたから。

「…あのさ、一ノ瀬。」

浅丘君の自転車が止まった。

「は、はい!」

何、この空気!

はっ!!

も、もしや…

「ご、ごめんなさい!あの、あたし、浅丘君にひどいこと言っちゃって…ごめんなさい!」

ちゃんと謝ってなかった。

浅丘君はあたしを思って、あたしの家族を思って、接してくれていたのに。

「ううん、謝らないで。間違ってないから、俺が意気地なしなの。」

浅丘君は笑った。

「昔からそうなんだ、俺。肝心な時、ダメになる。気が弱いんだ。」

意外な一面だな。

だっていつも明るくて、しっかりしてて、みんなから頼られて、そんな彼の姿しか知らなかったから。