一ノ瀬さん家の家庭事情。®️

久しぶりに浅丘君と2人きり。

ソファの端っこに座る浅丘君。

「…」

どうしよう、なんて声をかければいいの?

こういう時、マネージャーとして、そして彼女としてなんて言えばいい?

なにも言わないほうがいいのかな?

わからないよ。

「…ごめんな、一ノ瀬。」

先に口を開いたのは浅丘君だった。

あたしは首を横に振る。

浅丘君はなにも謝ることなんてないのに。

上手く声をかけてあげられない自分に腹がたつ。

「試合、出れなくなっちゃった。…キャプテン失格だよな。」

そんな、そんなこと言わないで。

きっとたくさんの、抱えきれないプレッシャーと不安の中でキャプテンになることを決意した浅丘君。

中学のときのこと、葉ちゃんのこと、久住君のこと。

だけどキャプテンは、浅丘君しかいないんだよ。

「…くやしい。こんな、…俺…」

うつむいて肩を震わせている。

もしかして、泣いているの?