一ノ瀬さん家の家庭事情。®️

スマホを持つ手が汗でにじむ。

たかが電話するだけでこんなに緊張するなんて、あたし変なのかな。

『もしもし?』

で、出た!

何日ぶりかの浅丘君の声!

浅丘君の携帯に電話をかけたんだから、浅丘君が出るのは当たり前なのに、こんなにも嬉しい。

「あ、あの…一ノ瀬です。」

『久しぶり、元気だった?』

電話の向こうの浅丘君はいつもと変わらない、気がする。

少しだけほっとする。

「あの、電話出れなくてごめんなさい…」

『ううん、こっちこそ、電話くれてたのに。』

浅丘君に聞きたいこと。

たくさんある。

それなのに、言えない。

だってあたしだって、少しだけ後ろめたいことがあるから。

『…あのさ、あの約束、覚えてる?』

あの約束って、デートのことですか!?

まさか向こうから話を振ってもらえるなんて!

「うん!もちろん!」

よかった、無効になってなくて。