一ノ瀬さん家の家庭事情。®️

この暑いのによくそんな元気だな。

「あれ、律兄今日バイトは?」

実はりっちゃん、大学生活が落ち着いてきた先月から塾講師のアルバイトを始めたのだ。

「今日はない日!あ、愛、俺も手伝う!」

りっちゃんが隣りに来て薬味を刻み始めたとき、玄関のドアが開く音がした。

真兄が帰ってきたのかな。

「ただいま。あー、あっちー!」

やっぱり帰ってきた。

「先に風呂入ってくるわ。」

「お湯、入れてないからついでにお風呂掃除もしといてね。」

玲がめんどくさそうに間延びした声で言う。

「はあ?お前、お兄様がお帰りになるんだから風呂くらい沸かしとけよ!」

いつもと変わらない一ノ瀬家の夕方。

それを変えたのは、一本の電話。

出たのは電話に一番近く座っていた真兄。

「はい、一ノ瀬です。はい、えっ!?まじ!?」

どうしたんだろ?

誰から?

「おう、わかった!!伝えとく!うん、じゃ!」