すると突然、デニス様は返事の代わりに私を横抱きにして、ソファーの上に下ろした。「えっ、あの……」と驚いているのも束の間、左側に重い物でも置かれたのか、体が傾き……。

「おっと」

 デニス様に抱きついていた。そう、普段は護衛として座ることのなかったデニス様が、隣に座ったのだ。

「す、すみません!」

 体をすぐに起こそうとしたが、逆にデニス様の手が私の背中に触れ、身動きが取れなくなった。

「さっきヘイゼル嬢のどこが良かったのか、と聞いたけど」

 頭上から降ってくるデニス様の口調に、私の体が全身熱くなったのかのような衝撃を受けた。そう、急にタメ口になるなんて、不意打ちもいいところだ。

 確かに、気さくに話してほしいとは言ったけど……こ、心の準備が……!!