【Quintet】

 スタッフから渡されたギターとベースを構えた悠真と星夜が所定の位置につき、ドラムセットの中央に晴、マイクスタンドの前に海斗が立った。
沙羅も鍵盤の前に座ってスタンバイはOKだ。

 雛壇にいる隼人と美月も、会場にいる全員の視線が五人に集まっている。

『今から演奏していただくのは2009年8月に発売されたセカンドアルバムに収録されている〈full moon〉。この曲は新郎の隼人さんと新婦の美月さんの恋の軌跡をボーカルのKAITOさんが歌詞にしたものです。今回はお二人の結婚式のためにアレンジされた、クラシックバージョンを披露してくださいます。それではお願いします』

 薄暗くなる会場で五人にだけスポットライトが当たる。
一呼吸した沙羅の指が鍵盤を滑り始めると、悠真のギター、星夜のベース、晴のドラムがピアノの旋律に重なった。

沙羅、悠真、星夜、晴の四人の音で紡がれるイントロの間、海斗はスタンドのマイクを持って静かに目を閉じていた。

 星夜の英語のコーラスが入った後に海斗の瞼が開く。その瞬間に披露宴会場はコンサートホールに姿を変えた。