【Quintet】

 闇に瞬《またた》く赤と青の閃光。武道館に集まった1万4千人の群衆は、〈unshaken〉のイントロがかかると一斉に歓声を上げた。

 デビュー曲で開幕した彼らのステージはセカンドアルバムのリード曲〈Wonder〉、ライブバージョンにアレンジした2ndシングル〈fulgent〉、
サビのアップテンポなメロディが中毒性のある〈魔葯悲訳劇薬《まやくひやくげきやく》〉と続く。

〈魔葯悲訳劇薬〉のサビ部分でステージ両脇の二つの大型スクリーンに海斗、星夜、晴、悠真とメンバーの顔が順に映し出されると、野太い歓声の中に黄色い悲鳴が混ざっていた。

 星夜のフェイクで始まったファーストアルバム収録曲の〈紅さし指〉はメインボーカルの海斗とサブボーカルの星夜の絶妙な歌声の掛け合いが楽しめ、
ドラマ主題歌に抜擢された〈迷宮回廊〉や海斗のラップが聴ける〈Solver〉とロックナンバーを連発して会場を盛り上げる。

 正確な音程で伴奏を牽引する悠真のギターに星夜のベースの単音がサウンドを支え、激しく力強い晴のドラムがリズムを刻んで音に迫力を生み出す。星夜の伸びやかな甘い声のコーラスが主旋律を歌う海斗のハードな声に重なり合った。

今日の海斗の声の調子は抜群に良い。低音も高音も自在に操る海斗の歌声が、ここにいるひとりひとりの心に語りかける。

 四人の音に魅了された1万4千人の観客はライブグッズのラバーバンドを嵌めた腕を挙げ、曲調に合わせて拳を天に高く突き上げていた。