【Quintet】

 可愛いと囁かれて全身に受けるキスの雨が濡れた音を響かせる。
吐息に含まれた彼女のかすれた甘い声が悠真にとっての媚薬になると沙羅は知らずに、何度も何度も声にならない甘い音を彼に聴かせた。

 汗まみれのぐちゃぐちゃになった顔。見られるのが恥ずかしくて顔を覆った手は、大きな男の手に握られた。

『沙羅、こっち見て。可愛い顔見せて』

そうやって少し意地悪に微笑む悠真の声は不思議と穏やかで優しい。雌の顔をして理性が壊れた沙羅を見下ろす彼は愉しそうだった。

 絶頂に辿り着く寸前の一瞬だけ、悠真は獣の表情を見せる。色っぽい雄の顔だ。
優しくてクールな男のこんな表情をこれからもずっと、見ていたい。

 二人が情欲に呑み込まれている間に時間は午前零時を過ぎていた。

沙羅の携帯電話に表示された日付は12月25日。今日はファーストライブ初日でもあり、悠真の25回目の誕生日でもある。

「お誕生日おめでとう」
『ありがとう。一番最初に祝ってもらう相手が沙羅で嬉しいよ』

 好きな人の腕の中で眠りにつく20歳のクリスマス。

メリークリスマス。
そして、ハッピーバースデー。