【Quintet】

『後で絶対ダメ出しされる……』
『あのクソ親父はドSだからな……』
「圭さんってドSなの? 昔会ったきりだけど優しいおじさんのイメージだよ?」

 沙羅が知っている高園圭は物腰が穏やかな紳士だった。二人の息子も雰囲気は父親によく似ている。

『いやいや、圭さんは顔も性格も悠真に超絶そっくり』
『声はどっちかと言うと海斗っぽい。でも圭さんがたまに見せるドSの遺伝子はそのまま悠真に受け継がれたよな』
『うちの親父はバンド名に“皇帝”って名付ける俺様野郎。まじに兄貴そっくり』
『お前らうるせぇぞ』

三人から口々に父親そっくりのレッテルを貼られた悠真は珍しく不貞腐れていた。

 明日彼らが見せてくれる景色とそこで生まれる感情は未知のもの。

ワクワクとドキドキとソワソワのクリスマスイブの夜の色はミッドナイトブルー。東京は雪の気配は微塵もなく、凛として綺麗な冬空が広がっていた。

 クリスマスパーティーもお開きになった23時。沙羅の携帯電話が着信した。

[今からそっちに行くよ]悠真から届いたメールにOKの絵文字で返信を送る。同じ家に住んでいてメールを送り合う。
なんだか変な感じだと、可笑しくて笑えてきた。