港区の芸能プロダクションエスポワールの社長室。並木出版上層部との話を済ませた吉岡は受話器を置いた。
『北山圭織は編集者として行き過ぎた行動の責任を取らせて部署を異動させるそうだ。花形のファッション編集部門には二度と戻ることはない』
『そうですか』
部屋のソファーには高園悠真がいる。圭織の処分の話を聞いても悠真は淡々としていた。
彼女がどうなろうと興味はない。今後も沙羅と自分達に近づかなければそれでいい。
桑田と組んでUN-SWAYEDのスクープを狙う企みまでは許容できても、沙羅を傷付けたことは許せなかった。
『お前達も無茶苦茶やる。出版業界に歯向かうタレントなど前代未聞だ。しかも育ての親の私まで脅して。はぁ。まったく……』
『社長の昔の話はネタの宝庫でしたよ』
始まりかけた吉岡社長の小言を早々に打ち切って悠真は腰を上げた。まだボヤキ足りない吉岡に対してこの質問は火に油を注ぎそうだが、悠真は彼に聞きたいことがあった。
『社長が惚れていたのは葉山美琴の演奏にですか? 葉山美琴自身にですか?』
『なら聞くが、お前は葉山沙羅の演奏が嫌いか?』
『いいえ。沙羅の演奏も彼女自身も愛しています』
『それが答えだよ』
もう何も言いたくないとばかりに吉岡は椅子のキャスターを回転させて悠真に背を向けた。吉岡は一度ヘソを曲げると数日は機嫌の悪い男だ。
『北山圭織は編集者として行き過ぎた行動の責任を取らせて部署を異動させるそうだ。花形のファッション編集部門には二度と戻ることはない』
『そうですか』
部屋のソファーには高園悠真がいる。圭織の処分の話を聞いても悠真は淡々としていた。
彼女がどうなろうと興味はない。今後も沙羅と自分達に近づかなければそれでいい。
桑田と組んでUN-SWAYEDのスクープを狙う企みまでは許容できても、沙羅を傷付けたことは許せなかった。
『お前達も無茶苦茶やる。出版業界に歯向かうタレントなど前代未聞だ。しかも育ての親の私まで脅して。はぁ。まったく……』
『社長の昔の話はネタの宝庫でしたよ』
始まりかけた吉岡社長の小言を早々に打ち切って悠真は腰を上げた。まだボヤキ足りない吉岡に対してこの質問は火に油を注ぎそうだが、悠真は彼に聞きたいことがあった。
『社長が惚れていたのは葉山美琴の演奏にですか? 葉山美琴自身にですか?』
『なら聞くが、お前は葉山沙羅の演奏が嫌いか?』
『いいえ。沙羅の演奏も彼女自身も愛しています』
『それが答えだよ』
もう何も言いたくないとばかりに吉岡は椅子のキャスターを回転させて悠真に背を向けた。吉岡は一度ヘソを曲げると数日は機嫌の悪い男だ。

