嵐の金曜日から2日後の日曜日。昼下がりを音楽室で過ごしていた沙羅が階下に降りると、玄関ホールに星夜がいた。
「びっくりした……。帰ってたんだね」
『俺だけ午後から休みもらったんだ。今から出掛けるよ』
星夜と顔を合わせるのは金曜日以来。金曜の夜から彼は青葉台の実家に帰っていて、昨日も実家に泊まったと聞いた。
バンド活動の傍らで実家の会社を継ぐ準備を進めている星夜は、月に何度か青葉台の家に帰っている。彼の不在も今では珍しくもなくなった。
『沙羅のお祖父さんに会ってくるね』
「えっ……? お祖父さんにって……」
星夜は4月に葉山本家を訪問した時と似たようなスーツ姿だ。綺麗に磨かれた革靴を履いた彼は黒いステンカラーコートを羽織った。
見慣れないシックなスーツを着こなす星夜は普段よりも大人っぽく見え、不覚にも心臓が黄色い悲鳴をあげて騒いでいる。キスのことがあって星夜と二人きりになるのは気まずいのに、正装した星夜の姿に惚れ惚れしているのだから女心は身勝手だ。
『元婚約者の特権の再利用ってやつ。使えるものは使うのが俺達のやり方だから』
「何をするの?」
『俺達が沙羅を傷付けられて大人しく黙ってると思う? し、か、え、し、してやるんだよ』
仕返しと呟いた時の星夜の顔はとても愉《たの》しそうだった。星夜達があの北山圭織に何をしようとしているのか、沙羅には皆目わからない。
「びっくりした……。帰ってたんだね」
『俺だけ午後から休みもらったんだ。今から出掛けるよ』
星夜と顔を合わせるのは金曜日以来。金曜の夜から彼は青葉台の実家に帰っていて、昨日も実家に泊まったと聞いた。
バンド活動の傍らで実家の会社を継ぐ準備を進めている星夜は、月に何度か青葉台の家に帰っている。彼の不在も今では珍しくもなくなった。
『沙羅のお祖父さんに会ってくるね』
「えっ……? お祖父さんにって……」
星夜は4月に葉山本家を訪問した時と似たようなスーツ姿だ。綺麗に磨かれた革靴を履いた彼は黒いステンカラーコートを羽織った。
見慣れないシックなスーツを着こなす星夜は普段よりも大人っぽく見え、不覚にも心臓が黄色い悲鳴をあげて騒いでいる。キスのことがあって星夜と二人きりになるのは気まずいのに、正装した星夜の姿に惚れ惚れしているのだから女心は身勝手だ。
『元婚約者の特権の再利用ってやつ。使えるものは使うのが俺達のやり方だから』
「何をするの?」
『俺達が沙羅を傷付けられて大人しく黙ってると思う? し、か、え、し、してやるんだよ』
仕返しと呟いた時の星夜の顔はとても愉《たの》しそうだった。星夜達があの北山圭織に何をしようとしているのか、沙羅には皆目わからない。

