『北山圭織に言われたのは俺のことだけ?』
「私と悠真の写真……撮られたんだよね?」
『写真は社長が買い取った。記事にはならないよ。俺も無用心だった。沙羅は一般人だから週刊誌に付け回されることはないと思うけど、この家は知られてる。しばらく二人での外出は控えよう』
「……うん」
沙羅の様子はまだおかしかった。彼女の顔を見た時から不審に思っていた。
北山圭織から悠真と亜紀子の話を聞かされて取り乱すのはわかる。誰でも恋人の昔の相手の話は聞きたくない。
でもそれだけでここまで落ち込むとは思えない。尋常ではない沙羅の状態は星夜が仕事中の悠真に連絡するほど。
もっと、沙羅の心が壊れてしまうきっかけがあったはずだ。
『他に何か言われた?』
「……名前だけだって。私にあるのは親の名前だけって言われたの。その通りで何も言い返せなかった。私には親の名前しかない」
北山圭織は沙羅の最も弱い部分を攻撃した。伝説のロックバンドemperorの元ギタリストの父親と日本の至宝と謳《うた》われたヴァイオリニストの母親を持つ沙羅は時として親の名前に苦しめられてきた。
悠真と海斗や俳優の一ノ瀬蓮がemperorの元メンバーの息子であることを世間に公にしていないのも二世扱いを避けるため。親の名前を使わずに実力で上り詰めなければこの世界は生き残れない。
「私と悠真の写真……撮られたんだよね?」
『写真は社長が買い取った。記事にはならないよ。俺も無用心だった。沙羅は一般人だから週刊誌に付け回されることはないと思うけど、この家は知られてる。しばらく二人での外出は控えよう』
「……うん」
沙羅の様子はまだおかしかった。彼女の顔を見た時から不審に思っていた。
北山圭織から悠真と亜紀子の話を聞かされて取り乱すのはわかる。誰でも恋人の昔の相手の話は聞きたくない。
でもそれだけでここまで落ち込むとは思えない。尋常ではない沙羅の状態は星夜が仕事中の悠真に連絡するほど。
もっと、沙羅の心が壊れてしまうきっかけがあったはずだ。
『他に何か言われた?』
「……名前だけだって。私にあるのは親の名前だけって言われたの。その通りで何も言い返せなかった。私には親の名前しかない」
北山圭織は沙羅の最も弱い部分を攻撃した。伝説のロックバンドemperorの元ギタリストの父親と日本の至宝と謳《うた》われたヴァイオリニストの母親を持つ沙羅は時として親の名前に苦しめられてきた。
悠真と海斗や俳優の一ノ瀬蓮がemperorの元メンバーの息子であることを世間に公にしていないのも二世扱いを避けるため。親の名前を使わずに実力で上り詰めなければこの世界は生き残れない。

