『沙羅……沙羅!』
星夜はもう一度沙羅を呼ぶ。こちらの声が聞こえていてわざと無視しているのか、演奏に夢中で気付かないのか、どちらにしろ沙羅は音楽室に入ってきた星夜と晴の存在を気にもしていなかった。
『あれは変だぞ。どうする?』
『止める。こんな乱暴な演奏は沙羅の音色じゃない』
覚悟を決めた星夜は前に進み出た。
星夜が真横に立っても沙羅は無表情に鍵盤を叩き続けている。激しい旋律は外で起きている冬の嵐と似ていた。
『もう止めよう。そんな風に弾いていたら大事な手を痛めるよ』
すっと伸びた星夜の手が鍵盤の上で暴れていた沙羅の手を掴んだ。ビクッと肩を震わせた彼女はそれでも弾き続けようと、星夜の手を振り払う。
振り払われたその手で今度は沙羅の腕を引っ張り上げた。強制的に立たされた沙羅は星夜の腕に包まれて大人しくなった。
『……晴、コーヒー豆入ってる棚に沙羅用のカモミールティーがあるんだ。用意してくれない? 下に沙羅連れて行く』
『わかった』
星夜の行動を見守っていた晴は音楽室を出ていった。二人だけの音楽室は静寂に紛れて沙羅の涙の音がしている。
星夜はもう一度沙羅を呼ぶ。こちらの声が聞こえていてわざと無視しているのか、演奏に夢中で気付かないのか、どちらにしろ沙羅は音楽室に入ってきた星夜と晴の存在を気にもしていなかった。
『あれは変だぞ。どうする?』
『止める。こんな乱暴な演奏は沙羅の音色じゃない』
覚悟を決めた星夜は前に進み出た。
星夜が真横に立っても沙羅は無表情に鍵盤を叩き続けている。激しい旋律は外で起きている冬の嵐と似ていた。
『もう止めよう。そんな風に弾いていたら大事な手を痛めるよ』
すっと伸びた星夜の手が鍵盤の上で暴れていた沙羅の手を掴んだ。ビクッと肩を震わせた彼女はそれでも弾き続けようと、星夜の手を振り払う。
振り払われたその手で今度は沙羅の腕を引っ張り上げた。強制的に立たされた沙羅は星夜の腕に包まれて大人しくなった。
『……晴、コーヒー豆入ってる棚に沙羅用のカモミールティーがあるんだ。用意してくれない? 下に沙羅連れて行く』
『わかった』
星夜の行動を見守っていた晴は音楽室を出ていった。二人だけの音楽室は静寂に紛れて沙羅の涙の音がしている。

