ベッドは平らなまま、部屋には人の気配すらなかった。
『いない……』
『上でピアノの練習してるとか?』
『自分の晩飯も作らずに? 沙羅らしくない』
沙羅と同居して半年が過ぎたが、彼女が夕食当番の日に食事を作り忘れた日はない。
沙羅がアフターファイブに予定ができて帰宅が遅くなる日や体調不良で作れない日は、必ず四人の誰かのもとに沙羅から連絡が入る。そうやって同居を続けてきた。
星夜と晴は二階に上がった。北西のテラスには雨が吹き込んでいて嵐の激しさを物語る。こんな悪天候な日にわざわざ外出するとは思えない。
葉山行成が沙羅のために用意した音楽室は防音設備が整っている。沙羅や彼らが真夜中に演奏をしていても音漏れはまったくない。今も廊下には星夜と晴の足音しか聞こえなかった。
星夜が開いた扉から一気に漏れてきたピアノの旋律。ドラムやマイクスタンド、ギターとベースが並ぶ音楽室の最も奥まった部分に漆黒のグランドピアノがあった。
『……沙羅』
本来は演奏中に声はかけない。だが今日の沙羅の演奏は妙だった。
鍵盤を叩き付けるような荒い伴奏。譜面台に楽譜はなく、沙羅は一心不乱にピアノを弾いていた。
『いない……』
『上でピアノの練習してるとか?』
『自分の晩飯も作らずに? 沙羅らしくない』
沙羅と同居して半年が過ぎたが、彼女が夕食当番の日に食事を作り忘れた日はない。
沙羅がアフターファイブに予定ができて帰宅が遅くなる日や体調不良で作れない日は、必ず四人の誰かのもとに沙羅から連絡が入る。そうやって同居を続けてきた。
星夜と晴は二階に上がった。北西のテラスには雨が吹き込んでいて嵐の激しさを物語る。こんな悪天候な日にわざわざ外出するとは思えない。
葉山行成が沙羅のために用意した音楽室は防音設備が整っている。沙羅や彼らが真夜中に演奏をしていても音漏れはまったくない。今も廊下には星夜と晴の足音しか聞こえなかった。
星夜が開いた扉から一気に漏れてきたピアノの旋律。ドラムやマイクスタンド、ギターとベースが並ぶ音楽室の最も奥まった部分に漆黒のグランドピアノがあった。
『……沙羅』
本来は演奏中に声はかけない。だが今日の沙羅の演奏は妙だった。
鍵盤を叩き付けるような荒い伴奏。譜面台に楽譜はなく、沙羅は一心不乱にピアノを弾いていた。

