【Quintet】

「あのね、私も……彼氏できた」
「うん。知ってるよー」
「え……ええっ?」

 悠真とのことを大学の友達には話していない。予想外な展開に戸惑う沙羅の鼻先を織江はむにっと突っついた。

「何年友達やってると思ってるの? 沙羅の雰囲気見ればわかるよ。ソワソワと何度もメールの確認したり、メイク通の瑠衣にメイク教えてもらったりしてたじゃん。それって彼氏ができた子の行動そのものだよ? 瑠衣達も詮索しないだけで、沙羅の変化には気付いてる」

思っている以上に沙羅は分かりやすい人間のようだ。
こちらは10ヶ月も親友の秘密の恋に気付かなかったのに、周りには心が筒抜けな自分が我ながら情けない。

「彼氏って同居してる四人の誰か?」
「うん」

 恋人がUN-SWAYEDのリーダーだとは今はまだ秘密。
奇しくも織江はUN-SWAYEDの大ファンだ。武道館ライブのチケットも織江は2日目のアリーナ席を勝ち取っている。

「同棲羨ましい。彼氏は学祭来るの?」
「四人で演奏会に来てくれる」
「そっか。学祭は私も忙しいから沙羅の彼氏と同居人達を偵察に行けないけど、いつか会わせてよね」

笑顔の織江と交わした約束がいつか叶えられるといい。
いつか……きっと。