【Quintet】

 日暮れの前に二人は自宅に帰り着いた。リビングのテーブルに置かれたアニマルクッキーは動物園で購入した海斗達への土産だ。

『コーヒー持っていくから俺の部屋で待っててね』
「はぁーい」

 コーヒーを作る悠真を下に残して沙羅は二階に上がる。彼女は悠真の部屋の二人掛けのソファーに座った。

沙羅はパンダのぬいぐるみを抱えている。胸元に収まるサイズのパンダは、動物園の土産物店で悠真が買ってくれた物だ。

(動物園楽しかったなぁ。お父さんとお母さんと行った時とはまた違って、ドキドキして……)

 動物園の帰りには渋谷のゲームセンターに寄って、二人でプリクラを撮った。ショルダーバッグから取り出したプリクラのシートを眺めて甘い時間の余韻に浸る。

ポーズに悩む沙羅に悠真がキスをした瞬間を撮影したプリクラが目に飛び込んできた。首を傾けて沙羅の唇を奪う悠真の首筋のラインは煽情《せんじょう》的だ。

(いつもこんな風にキスされてるんだ)

自分達のキスシーンをプリクラを通して客観的に見てみると、とても恥ずかしい行為をしているのだと自覚する。