【Quintet】

『そんな風に言われるともう離せなくなるな』

 ふたつの唇の距離は5㎝。背伸びをした沙羅の唇を悠真が優しく迎えに来た。

小柄な沙羅の腰と後頭部を長身の悠真がぐっと引き寄せる。上を向かされた沙羅は時々呼吸を荒くして彼の唇にしがみついた。

悠真がキスの最中にうっすらと目を開けた。目を伏せてキスに浸る沙羅は上気した頬に蕩《とろ》けた表情を浮かべている。
悠真の舌に必死で自身の舌を絡ませる沙羅が可愛くて堪らなかった。

 粘性の糸を垂らして唇が離れる。沙羅の口の端に垂れた唾液は悠真か沙羅か、どちらのもの?

『海斗に抱かれた?」
「……ううん。最後まではしなかったよ。ひゃっ……」

立ったままで悠真は沙羅の首筋を舌でなぞった後に耳たぶを甘噛みした。耳に与えられるエロスな刺激に沙羅の膝が震える。

『最後“まで”しなかったならどこまでしたのか教えて?』

 導かれた場所は悠真のベッド。柔らかなベッドに身体を沈ませた沙羅の上に悠真が重なった。

沙羅が着ているチェック柄のシャツワンピースのボタンがひとつひとつ外され、滑り込んできた彼の手によってブラジャーの支えも失った。

『俺も最後まではしない。今日は用意してないんだ』
「用意?」
『大切な沙羅の身体に無責任なことはできない。避妊の用意ができたら最後まで……。次は止めないよ』

 耳元に感じる彼の吐息でさえも沙羅の欲情を煽る材料。